土地を購入し、住宅を建てようと考えたとき「建ぺい率」と「容積率」という言葉を目にした方も多いと思います。
なんとなく家の広さや高さの制限に関することだとはわかっても、詳しく知らないという方がほとんどではないでしょうか?
どんな住宅を建てるかを考えるうえで、土地と建物の広さ、高さそれぞれを踏まえる必要があり、建ぺい率と容積率が重要になります。
土地に対して好きな規模の建物を建てて良いわけではなく、ご自身やご家族、周辺に住む人たちの快適さや安全性を考えて、法律などでさまざまな規制が設けられているのです。
そこで今回は建ぺい率と容積率についてご紹介します。
建ぺい率と容積率とは?
建ぺい率
「建ぺい率」とは、敷地面積に対して建てても良い建築面積の広さの割合のことを指します。
簡単に言うと、その土地に建てても良い住宅の広さの割合を表す指標で、建築基準法53条で規定されている建物の大きさを一定の割合に制限するためのルールです。
「建築面積」は「建坪(たてつぼ)」とも言いますが、これは建物を真上から見た時の水平投影面積のことを表しており、2階建ての戸建住宅の場合には、1階と2階で面積の大きい方の面積と考えると分かりやすいかもしれません。
この建築面積が、敷地面積に対してどのぐらいの割合であるのかを示したものを建ぺい率といいます。
建ぺい率によって建物の建築面積が制限される理由は、防災や通風、日当たり対策など、快適な住環境でゆとりある建物を建てられるように、建築基準法によって決められているからです。
例えば、建ぺい率が60%と指定された地域の場合、敷地面積が100㎡なら、建築可能面積は60㎡が上限となります。
建ぺい率の限度は、地域ごとの都市計画法や建築基準法によって定められています。
いくつか緩和規定が設けられていたり、建物の形状や立地条件によって変動したりします。
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容積率
「容積率」とは、敷地面積に対する延べ面積の割合のことを指します。
「延べ面積」とは、バルコニーやロフト、吹き抜けなど一部を除いたそれぞれの階すべての床面積を足した面積のことをいいます。
つまり、容積率は敷地面積に対して何階建ての建物を建てることができるのかを定めるための基準と言えます。
これはその地域の建物の高さをある程度統一し、建ぺい率と同じく防災や通風、日当たり対策、人口を制限し快適な住環境を守る役割があります。
容積率の制限がないと、インフラ整備が不十分なエリアに階数が多い建物が建ってしまい、人口の増加が起こりやすくなります。
人口の増加により、交通渋滞や消費電力の増加、下水処理が追い付かないなどの問題が発生し、住みやすい街とは言えない状況になる可能性があります。
そのため、容積率という基準を設けることで建物の高さをある程度制限し、その地域に住める人口をコントロールするということになります。
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建ぺい率と容積率は、用途地域によって異なる
建ぺい率や容積率の数値が大きいほど、敷地に対しての建物の面積が広く、高くできます。
しかし、防災や通風、日当たり対策、人口制限などの理由で、快適な住環境を守る必要があるため、建築基準法によって用途地域や防災地域等の種別ごとに上限が定められています。
「用途地域」とは、暮らしやすい街づくりをするために土地の使い方を定めたルールのことで、建築できる建物の種類や大きさなどを制限をしている地域のことです。
土地の用途を分けることで、閑静な住宅街や繁華街、工場などが混在しないようにし、それぞれが生活しやすい街づくりを目指しています。
用途地域 | 建ぺい率(%) | 容積率(%) |
第1種低層住居専用地域 | 30、40、50、60 | 50、60、80、100、150、200 |
第2種低層住居専用地域 | ||
田園住居地域 | ||
第1種中高層住居専用地域 | 100、150、200、300、400、500 | |
第2種中高層住居専用地域 | ||
第1種住居地域 | 50、60、80 | |
第2種住居地域 | ||
準住居地域 |
それぞれの用途地域によっても、建ぺい率、容積率には幅があり、ご自分が住んでいる地域の用途地域は、各自治体のウェブサイトなどで簡単に確認することができます。
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建ぺい率が緩和される条件
建ぺい率には地域ごとに制限がありますが、一定の条件を満たすことで緩和されるケースがあります。
定められた建ぺい率が80%の地域かつ防火地域内にある耐火建築物の場合、建ぺい率は無制限(100%)となります。
また、建ぺい率80%未満の地域の場合、以下の2つのどちらかの条件に当てはまる場合には、建ぺい率が+10%、両方の条件に当てはまる場合には+20%となります。
・防火地域内の耐火建築物(または同等以上の延焼防止性能を有する建築物)または準防火地域内の耐火建築物、準耐火建築物(または同等以上の延焼防止性能を有する建築物)の場合:+10%
・特定行政庁が指定した一定の要件を満たした角地の場合:+10%
用途地域 | 建ぺい率の緩和 |
防火地域内にある耐火建築物 | +10% |
準防火地域内にある 耐火建築物または準防火建築物 |
|
一定要件を満たした角地 | +10% |
上記両方 | +20% |
ただし、緩和措置の条件は自治体によっても様々です。
そのため、事前に地域の担当窓口や地域密着型の住宅会社などで確認することをおすすめします。
容積率が緩和される条件
容積率にも一定条件で制限が緩和されるケースがあります。
地下室
建物内に地下室がある場合、建物の延べ面積の1/3を限度として容積率の計算から除外することが認められています。
敷地面積が100㎡、容積率が100%の場合、延べ面積は100㎡が上限です。
しかし地下室がある場合は、1/3を限度として容積率の計算から除外されるので、延べ面積150㎡(地下室50㎡)の建物を建てることができます。
駐車場
建物内に駐車場がある場合も、建物の延べ面積の1/5を限度として容積率の計算から除外することが認められています。
敷地面積が100㎡、容積率が100%で駐車場が建物内にある場合は、1/5を限度として容積率の計算から除外されるので、延べ面積120㎡(駐車場20㎡)の建物を建てることができます。
小屋裏収納・ロフト
小屋裏収納やロフトなど天井の高さが1.4m以下の場合、直下階の床面積の1/2を限度として容積率の計算から除外することが認められています。
屋根裏部屋を2階建てに作る場合は2階床面積の1/2、3階建てに作る場合は3階床面積の1/2となり、収納部屋を1階と2階の間に作る場合は1階床面積の1/2、2階と3階の間に作る場合は2階床面積の1/2を除外した部屋を作ることができます。
また、バルコニーやベランダなどの建物の外壁から出ている部分が2m以下のものや吹き抜け、玄関ポーチ、外付け階段、屋上などは、そもそも延べ面積に含まれません。
特定道路から一定範囲内の土地の場合
特定道路(幅員15m以上の道路)から分岐した道路(幅員が6m以上12m未満)に接する、特定道路までの距離が70m以内の土地については、その距離に応じて容積率を加算できます。
これによって広い道路に接する土地に比べて、そこから分岐している道路に接している土地の容積率が急激に低下することを防いでいます。
まとめ
今回は、建ぺい率と容積率についてと緩和される条件をご紹介しました。
住宅を建てる際には、建ぺい率や容積率などの他にもさまざまな建築制限があり、自治体によっては独自の制限を設けている場合もある一方で、緩和規定も定められています。
緩和規定や用途地域をしっかりと確認し、理想の家づくりを進めていただけたらと思います。
大栄建設は ZEH※の普及に努めています!
ZEH(ゼッチ)とは、Net Zero Energy House(ネット・ゼロ・エネルギーハウス)の略。
ネットゼロエネルギー住宅とは、建物の断熱化+機器の高効率化により、使用エネルギーを削減し、さらに、太陽光発電などの創エネルギーを用いることで、エネルギー収支がゼロになる住宅のこと。
大栄建設の ZEH普及実績と今後の目標
2025年度 戸建住宅の総建築数に対するZEH目標値は新築75%・既存75%
2023年度 戸建住宅の総建築数に対するZEH実績値は新築75%・既存0%
2022年度 戸建住宅の総建築数に対するZEH実績値は新築67%・既存0%
2021年度 戸建住宅の総建築数に対するZEH実績値は新築75%・既存0%
2020年度 戸建住宅の総建築数に対するZEH実績値は新築50%・既存0%