日本は世界でも有数の地震大国で、M6以上の地震のおよそ2割が日本周辺で発生しているため、住宅の耐震性・耐久性は重要なポイントです。
住宅を建てる工法にはいくつもの種類がありますが、近年注目を集めている「モノコック構造」をご存知でしょうか?
モノコック構造の家は外部からの力に強いため、自然災害が多い日本の住宅には適した構造になります。
今回は、自然災害が多い日本の気候に合ったモノコック構造についてご紹介します。
目次
モノコック構造とは?
モノコック(monocoque)とは、ギリシャ語で「ひとつの~」という意味の接頭語”mono”と、フランス語で「貝殻」という意味の”coque”を組み合わせた合成語で、日本語では応力外皮構造または張殻(はりがら)構造といいます。
モノコック構造は、骨組み(フレーム)の代わりに外皮に強度を持たせて支える設計で、骨組みがないため内部空間を広く取ることができ、構造を簡素化することで軽量化にもつながります。
もともと極限に強度が求められる航空機に用いられたことが始まりでしたが、その後自動車や鉄道など強度が必要なものにも応用されるようになりました。
住宅では、柱や梁(はり)、筋交いで骨組みをつくり建物を支えるのではなく、家を取り囲む壁・床・天井の合計6面で建物を支える箱型の構造となります。
モノコック構造と建築工法
日本の建築工法にはいくつか種類がありますが、現在では木造軸組工法(在来工法)と2×4工法の2種類が主流となっています。
それぞれの工法とモノコック構造についてご紹介します。
木造軸組工法(在来工法)
木造軸組工法は日本の住宅の約8割で使われている工法で、コンクリートの土台の上に垂直方向の柱、水平方向の梁(はり)、斜め方向の筋交いを組み合わせて骨組みを造る、日本の伝統的な工法を発展させ現代の住宅に適応させてきた建築工法です。
建て方(たてかた)で屋根までの建物の主要な構造を先に組み立てるため、構造内部や資材を雨から守ることができる日本の気候を考えたものになっています。
建物を支えるのは柱・梁・筋交いとなるため、側面の壁に大きな開口部を設けるといった間取りの自由さや間取り変更がしやすいといった特徴がありますが、工法が複雑で職人の技術によって仕上がりや耐久性が変わってくるという側面もあります。
近年では、木造軸組工法で自由な間取りを考えつつパネル材を組み合わせて強度を持たせる、モノコック構造を実現するハイブリッドな工法も増えてきています。
2×4(ツーバイフォー)工法
2×4(ツーバイフォー)工法は、モノコック構造を用いた木造枠組壁工法の一つです。
北米で標準化された建築工法で、枠組壁に使用される規格材の断面が「2インチ×4インチ」のものが多かった事から2×4(ツーバイフォー)と呼ばれています。
規格サイズの角材と合板を組み合わせるという単純な工法であるため、高度な技術を必要とせず、高い耐震性を持つという特徴があります。
欧米の気候に合わせて開発された工法で、1階の床からつくり始め、1階の壁、1階天井、2階の壁、屋根という手順で下から組み上げて建築します。
そのため日本の天候や湿度に適応しにくいといった問題点を考慮する必要があります。
関連記事:木造軸組工法と2×4(ツーバイフォー)工法と木造軸組パネル工法
モノコック構造の家のメリット・デメリット
モノコック構造の家のメリット
地震に強い
木造軸組工法では筋交いによって耐震性を上げますが、筋交いよりも面材のほうが地震の揺れに強いと言われています。
モノコック構造は、壁・床・天井の面材が一体化した強固な箱形で構成される構造であるため、大きな外力にも変形しにくいという特徴を持ちます。
地震や台風などの外力を面で受け、建物全体にバランスよく分散するため接合部に集中しにくく、変形しにくい仕組みになっています。
また箱型で構成されるため水平方向、垂直方向どちらの外力にも優れた性能を発揮します。
関連記事:地震に強い家の特徴とは?耐震・免震・制振構造の違いもご紹介します
気密性・断熱性を上げやすい
モノコック構造は、面材やパネル材で住宅を覆う箱形構造です。
住宅を丸ごと覆うことで、建築の際に出来てしまう隙間を最小限に抑えることができるため、気密性を高くしやすい構造になっています。
さらに、面材やパネル材に断熱材を組み合わせることで、高い断熱性を実現できます。
また、工場で厳しい品質管理のもと高精度加工を施し規格化された構造体や部材を建築現場で組み立てることで、工期の短縮や品質の均一化が図りやすくなります。
関連記事:高気密・高断熱の家とは?メリット・デメリットをご紹介します。
耐火性・遮音性が高い安心構造
高気密が実現しやすいモノコック構造の家は、耐火性・遮音性も高めることができます。
気密性の高い家になることで空気の通り道が遮断されるため、内部からの火災も外部からの火災も広がることを抑えることができる耐火性に優れた住まいになります。
また、家の内部の音が外に漏れにくくなり、反対に外部の音が屋内に伝わりにくくなるため、音のストレスから解放される快適な環境になります。
広い空間を確保できる
モノコック構造は壁・床・天井で建物を支える構造で、少ない柱で強度が保てるため広い居住空間を確保することができます。
限られた空間を最大限に活用し、理想のお部屋の広さを実現させやすい住宅になります。
モノコック構造の家のデメリット
間取りの自由度が低い
モノコック構造の家は、家を取り囲む壁・床・天井で建物を支えるため、開口部の大きい窓や広い吹き抜けなどの設計には一定の制限が出てしまいます。
また壁・床・天井全てで家の強度を保っているため、壁を抜いて部屋をつなげる間取り変更には多くの制限があり、自由に行うことは難しくなります。
カビやダニが発生しやすい
高気密・高断熱住宅を造りやすいモノコック構造ですが、気密性が高いがゆえに、換気をうまく行わないと室内の湿気がお家の中にこもってしまい、それが原因で結露が生じやすくなってしまいます。
結露が生じることによってカビやダニが発生しやすい環境となるため、結露対策が必要になります。
木造軸組パネル工法
2021年度の新築一戸建て住宅の建築工法別シェアは、木造軸組工法(在来工法)が79%、2×4工法が19%、木質プレハブ工法が2%(※林野庁 森林・林業白書より)となっており、木造軸組工法が約8割を占めていますが、近年木造軸組パネル工法が増えてきています。
木造軸組パネル工法は、木造軸組工法をベースに2×4工法の良い部分であるモノコック構造を取り入れた工法です。
木造軸組工法の良さである設計の自由度の高さや日本の気候に適した建築方法であることに加えて、モノコック構造の良さである耐震性、耐久性、高気密・高断熱住宅の造りやすさを併せ持つハイブリッドな工法になります。
木造軸組パネル工法の注意点
木造軸組パネル工法はあくまで基本は木造軸組工法ですが、自由度の高さから現状規格などがないため、建築会社によって品質やコストに差があります。
そのため、間取りだけでなくその建築会社がどのような部材を使っているのか確認が必要になります。
まとめ
快適な住まいづくりには、デザインだけでなく住み心地や安全性なども非常に大事な要素です。
地震が多い日本では、揺れることで外力を吸収し建物の寿命を延ばす木造軸組工法が主流の工法になっていった経緯がありますが、パネル工法と組み合わせることで、より耐震性・耐久性が高い住宅にすることができるようになります。
大栄建設では、木造軸組工法にモノコック構造のメリットを取り入れた高い耐震性と高気密・高断熱で日本の気候も考えられたスーパーウォール工法の家を採用しております。
地震などの災害に強く、健康や快適さも考えたお家を建てたいとお考えの方は、最適なご提案・サポートをさせていただきますのでお気軽にご相談ください。
大栄建設は ZEH※の普及に努めています!
ZEH(ゼッチ)とは、Net Zero Energy House(ネット・ゼロ・エネルギーハウス)の略。
ネットゼロエネルギー住宅とは、建物の断熱化+機器の高効率化により、使用エネルギーを削減し、さらに、太陽光発電などの創エネルギーを用いることで、エネルギー収支がゼロになる住宅のこと。
大栄建設の ZEH普及実績と今後の目標
2025年度 戸建住宅の総建築数に対するZEH目標値は新築75%・既存75%
2023年度 戸建住宅の総建築数に対するZEH実績値は新築75%・既存0%
2022年度 戸建住宅の総建築数に対するZEH実績値は新築67%・既存0%
2021年度 戸建住宅の総建築数に対するZEH実績値は新築75%・既存0%
2020年度 戸建住宅の総建築数に対するZEH実績値は新築50%・既存0%